・公正証書遺言は、公証役場で作る「無効になりにくい遺言書」
・任意後見契約は、判断能力が落ちる前に「後見人」を自分で決めておく契約
・どちらも準備には手間と時間がかかり、本人が「面倒」と感じると止まりやすい
親族から「お父さんに公正証書遺言と任意後見契約を作ってもらってはどうか」という提案があったとき、正直どちらの言葉も、名前は聞いたことがある程度でした。この記事では、調べて分かった基本的な内容を整理します。
公正証書遺言とは
遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
自筆証書遺言は自分で書くだけで作れる手軽さがありますが、書き方の不備で無効になったり、内容をめぐって相続人の間で「本当に本人が書いたのか」と争いになったりするリスクがあります。
公正証書遺言は、公証役場で公証人(法律の専門家)が関与して作成する遺言書です。
作成時に証人が立ち会い、公証人が内容を確認するため、形式不備による無効のリスクが低く、内容の信頼性も高いとされています。
その分、手数料がかかり、公証役場とのやり取りや証人の手配など、それなりの手間と時間が必要になります。
任意後見契約とは
任意後見契約は、将来、判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ「誰に、どんな支援をしてもらうか」を自分で決めておく契約です。
認知症などで判断能力が低下してから家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定後見」とは異なり、本人がまだ元気なうちに、信頼できる相手を自分で選んで契約しておける点が特徴です。
契約は公正証書で結ぶ必要があり、こちらも公証役場での手続きが必要になります。
| 項目 | 公正証書遺言 | 任意後見契約 |
|---|---|---|
| 目的 | 死後の財産の分け方を指定する | 判断能力低下後の支援者を、元気なうちに指定する |
| 効力が生じるタイミング | 本人が亡くなった後 | 判断能力低下後、家庭裁判所の監督が開始してから |
| 作成場所 | 公証役場 | 公証役場 |
| 主な特徴 | 証人の立会いのもと作成。無効になりにくい | 信頼できる相手を自分で選べる |
実際に提案を受けて感じたこと
我が家では、こうした制度の話が持ち上がった際、本人(父)が「わからない、面倒くさい」という反応を示し、結局手続きは進みませんでした。
制度としては理にかなっていても、本人が乗り気でなければ前に進まない、という現実をそのとき実感しました。
一方で、この提案がなければ「相続」や「判断能力の低下」について家族で話し合うきっかけ自体がなかったかもしれません。制度の是非とは別に、話し合いのきっかけになったこと自体には意味があったと感じています。
検討するなら「早め」がすべて
これらの制度は、判断能力がしっかりしているうちにしか使えません。
認知症の診断が出てからでは、本人の意思能力が問われ、公正証書遺言や任意後見契約そのものが成立しにくくなります。
「まだ早い」と感じるタイミングこそ、実は検討のリミットが近づいている場合もある、というのが実際に調べてみて感じたことです。
次回は、きょうだい間で相続の話が進まないとき、何から整理すればいいかについて書きます。
(本記事は一般的な情報整理を目的としたものであり、法律上の助言ではありません。具体的な手続きは公証役場・弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。)


コメント